Published: February 20, 2025
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マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏が、次のテーマについて語っていました。 ・AIで労働はなくなるか? ・世界経済が10%成長するとしたら ・AIは勝者総取りにはならない ・業務フローの再構築が必要 ・変化するSaaS 以下にまとめます。↓ (ドワルケシュPodcast, 2月20日) --- 【AGIで労働は無くなるか?】 ・⭐️今ある知的労働が自動化されても、より高度な新しい知的労働が生まれる ・⭐️(質問)でも、その「より高度な新しい知的労働」をAIがこなすようになる可能性もあのでは? ・⭐️あるかもしれない ・⭐️ただ、AIがそこに到達したときには、またその先の「第3の作業」が生まれるはず ・⭐️技術進歩によって知的労働が変化してきた歴史を見れば、「いずれすべての知的労働が消える」とは言い切れない 【世界経済が10%成長するとしたら】 ・⭐️爆発的な成長やインテリジェンスの豊富さを想定するなら、まず注目すべきはGDP成長 ・先進国の経済成長率は2%とかで、インフレ調整するとゼロに近い ・⭐️「これは産業革命並みのインパクトだ」というなら、本当に先進国でも10%や7%、インフレ調整後で5%くらいの経済成長を達成しないといけない ・⭐️サプライサイドだけが強ければいいわけではなく、需要も伴わないと意味がない ・⭐️「AGIに到達した!」と宣言しても、意味があるのは世界経済が本当に10%成長するかどうか ・⭐️サプライサイドだけを見て「作れば需要が来る」と突っ走るのはリスクもあり、需要と供給がバランスしないといけない ・需要と供給がかみ合わないまま暴走する可能性もあるので、過去の投資が今の需要を生んでいるという実績を確認しながらさらに投資をしていく 【AIは勝者総取りにはならない】 ・AIの世界ではどこで価値が生まれるのか? ・⭐️ハイパースケール(大規模クラウド)をうまくやる企業が勝つ ・️サム・アルトマンが指摘しているように、とにかく大量のコンピュートを回せる企業が大きな勝利を収める ・️今後インフラ需要が指数関数的に拡大する ・⭐️AIエージェントは人間のプログラム呼び出しだけでなく、エージェント同士がさらに別のプログラムを呼び出すため、需要は加速度的に大きくなる ・⭐️「これは勝者総取りじゃないか」という意見もあるが、そうは見ていない ・⭐️コンシューマ市場は勝者総取りになる場合もあるが、企業向けの場合はIT部門が複数のサプライヤーを求める ・⭐️クローズドソースがあれば、それを抑制するオープンソースが出てくるので、「クローズドな1社がすべてを独占する」状況にはなりにくい ・⭐️本当にAIが強力であると世界中が認識したら、世界各国の政府が民間企業に全権を渡して放置するはずがなく、勝者総取りになるのは考えにくい ・⭐️ただし、その上の層で、コンシューマ分野の特定のカテゴリではネットワーク効果で勝者総取りが起こりうる。ChatGPTがその例 ・ChatGPTはあっという間に大規模ユーザー基盤を確保し、逃げ切りの体制を築いた ・⭐️モデルがコモディティ化するかもしれないという話があるが、規模が大きくなれば単純なコモディティにはならない ・クラウドも「コモディティ化するだろう」と思われていたが、ハイパースケール運営のノウハウにより大きな参入障壁が生まれた。それと同じことが起きる 【業務フローの再構築が必要】 ・⭐️最大のポイントは業務プロセスをどう変えるか ・⭐️新しい「仕事のしかた」「フロー」を考えて慣れる必要がある ・⭐️多くの人が慣れ親しんだ業務フローを再構築するには時間がかかる ・セールス、ファイナンス、サプライチェーンなど既存のプロセスを作り直す必要がある ・⭐️エージェントのやり取りを管理する「エージェントマネージャー」のような仕組みが必要になる ・ただのチャットインターフェイスではなく、もっと賢いUIがいる ・⭐️多数のエージェントが実際のナレッジワークをこなし、人間のナレッジワーカーが「上司」役になる ・エージェントとのやり取りを手助けする新しいインターフェイスが必要 【変化するSaaS】 ・⭐️(質問)たとえばLLMがすべてのデータベースやExcelシートへの入り口になった場合、LLMがOfficeをコモディティ化する可能性があるか? ・エージェントが加わるとUIレイヤーも変化する ・Officeは今日ある機能だけでなく「ナレッジワークを支えるUIレイヤー」そのもの ・⭐️今後、ワークフローの変化に合わせてOfficeも進化し続ける ・⭐️作りたいのはそういう形のもので、SaaSアプリケーションもCRUD型だけで終わらなくなる ・⭐️ビジネスロジックがエージェント的な層に移行する ・⭐️SaaSアプリケーションはまったく違う形に変わっていく ・世界にはまだ膨大なITの「やり残し」(バックログ)がある ・⭐️コード自動生成が普及し、エージェントがSaaSアプリにアクセスしやすくなると、かつてないほどアプリが爆発的に増える ・⭐️新しいアプリというより「エージェント」と呼ぶかもしれないが、業界や業種ごとのニーズを満たす形で大量のエージェントが生まれる ・⭐️従来のブラウザUIと特定業務プロセスだけに安住せず、「ユーザーのタスクをどう支援するか」という上位レイヤーにシフトが必要 【価格が下がると需要が増える】 ・DeepSeekが出たあとに、ジェボンズのパラドックスについてツイートした ・⭐️ジェボンズのパラドックスは需要が非常に弾力的な場合に「効率化が進むほど需要が増える」という現象 ・AIのインテリジェンスは、価格が下がれば下がるほど需要が伸びる類のもの 【AIの管理】 ・⭐️私たちは上限のない知能を持つ新しい種を生み出していると言えるかもしれない ・⭐️それが新しい種と呼べるほどなら、前提として個人や社会レベルの信頼を築く必要がある ・法的なインフラストラクチャをどう整えるかが大きく左右する要素になる ・社会は「人間が財産を所有し、権利を有し、責任を負う」前提で成り立っている ・⭐️人間が道具として使うAIに権限を委譲するなら、社会のルールをどう変えるのかが決まらないと実際には展開できない ・責任を負う人間がいないと「AIが勝手にやったこと」は展開できない ・⭐️最も強力なAIも、最終的には人間が委任した権限を行使する形でしか動けないと思う ・⭐️制御不能のAIを稼働させることは絶対に認められない ・世界は広いので法制度のゆるい国で実験する可能性はあるが、だからといって世界全体が放置するとは思えない ・ならず者国家やならず者アクターには相応の結果が待つ ・⭐️10%の経済成長を考えると、それは事実上AGIのようなものをうまく機能させることが条件になるかもしれない ・何十兆ドルもの価値を生むには、人類全体の労働を大規模に自動化するか、労働を飛躍的に補完しないといけない ・⭐️資本のリターンだけが存在して労働のリターンがない状態になると、社会構造が不安定になり民主主義も機能しなくなる ・⭐️最終的に「労働にもリターンがある」状態が必要 ・⭐️仕事には意味や尊厳があり、そこが満たされないとテクノロジーが進んでも社会は受け入れない ・⭐️Microsoftは「制御できない形では絶対に出さない」というスタンスで、作用範囲やスケールを管理できる領域で展開する ・社会が容認しないリスクを野放しにしてリリースすることはない ・⭐️物理的な実体を操作できる領域に踏み込むかどうかは大きなハードル ・それを越えるなら相応に厳格な保証が必要 【Muse:ゲーム生成AI】 ・⭐️「Muse」はMicrosoftが昨日発表したゲーム生成AIモデル(世界モデル) ・ゲーム内の物理演算やプレイヤーのコントローラー操作に対するゲームの反応を含めて、3Dゲームの世界をAIが詳細に生成できる ・Dall-EやSoraが生成モデルで大きな成果を出しているが、今回狙ったのは「ゲームのプレイデータを使ってゲーム自体を生成できるモデル」 ・⭐️いずれこのモデルを使ってゲームを自動生成し、それをプレイする時代が来る ・Xboxのコントローラーを使いながらモデルに入力を与えると、モデルがそれに応じてリアルタイムにゲーム画面を生成する ・初めてChatGPTが文章を補完してくれた時やDall-EやSoraが描画した時のような衝撃を受けた ・AIとゲームを組み合わせることで、ゲーム界にも大きな変化が起こる ・5~7年くらい前から「AI・Quantum・Mixed Reality」が3つの大きな柱だと言い続けていて、今もその考えは変わっていない ・⭐️Mixed Reality(複合現実)は3つの中で一番難しいかもしれない ・⭐️装着型デバイスが必要など社会的ハードルもあって苦戦している面もある ・この3つをどう組み合わせるかを常に考えている 【Majorana 1:量子コンピューティングのブレイクスルー】 ・⭐️「Majorana 1」はMicrosoftが昨日発表した世界初のトポロジカル量子チップ ・物理学のブレイクスルーであり、「量子コンピューターにおけるトランジスタの瞬間」 ・トポロジカル相を利用すれば量子情報を確実に隠蔽したり測定でき、それを製造できるようになった ・物理的には100万キュービットを搭載できる最初のチップを目指している ・そこに誤り訂正された数千の論理キュービットを載せられるようになり、「ユーティリティスケール(実用規模)」の量子コンピューターが一気に現実味を帯びる ・この小さなサイズに将来的には100万キュービットを搭載し得るというのは信じられないほど ・今回得られた製造技術を使い、「最初のフォールトトレラント量子コンピューター」を構築するのが次のステップ ・2027年、2028年、2029年あたりには本当に作れるかもしれないと思っている 【AIと量子コンピュター】 ・AIはシミュレーターのエミュレーターのようなもので、量子コンピューターは自然現象のシミュレーターと言える ・量子が得意な領域と古典計算(クラシカルコンピューター)が得意な領域は違う ・量子はデータ量が巨大なものというより、状態空間が膨大な問題の探索に適している。化学や物理、生物学のシミュレーションなど ・AIをエミュレーションエンジンとして使い、量子が生成した合成データを学習させることで化学や物理をより正確にモデル化できる ・AIと量子が組み合わさることでそういうことが可能になると考えている

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