Published: May 26, 2025
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MoguLive様にインタラクション2025で発表した「視力回復 VRゲーム」を取り上げていただきました. 作者はプロトタイプの開発からテストプレイを繰り返し,視力が 0.7 0.9 から 2.0 2.0 まで回復しました. (そして論文の執筆作業で 1.2 1.5 まで下がりました.論文書きたくないでござる)

インタラクション2025に投稿した原稿では,紙面の都合上 省略した内容がかなりあるのですが,その中でも特に補足が必要な内容についてこちらで追記していきます.(次回投稿する論文で修正予定)

【 視力測定について ① 】 実験前後での視力測定(および実験用VRゲームのプレイ)は「矯正器具を装用した状態」で行いました.

これは,矯正器具の装用状態が実験用VRゲームの視力回復効果に与える影響を調べる目的を含んでいたためです. (実際は,それぞれの矯正器具装用被験者の n 不足により,統計的な分析を行えませんでした)

【 視力測定について ② 】 視力測定は,ランドルト環を表示するディスプレイに対して 5 m 離れた位置から片眼ずつ,ディスプレイに表示されたランドルト環を識別させる( 2/3 判別)方法で行いました. (※次回の実験ではより厳密な 3/4 判別で行う予定)

・実験前後で,計測を行った部屋・場所は同じであり,明度も同一であったとみなしている  (部屋のブラインドカーテンを閉めた上で,同じ照明・同じ立ち位置の元で行っていることから)

・計測を行った時間(朝・夕・晩)は統一されていなかった (今回のケースでは,夕方近視・夕方老眼による影響は少ないだろうという考えから)

[ 使用したディスプレイのスペック ] ・65インチ 4Kディスプレイ ・解像度:3840 x 2160 ・画素密度:68 ppi

【 視力測定について ③ 】 今回の測定は,小数視力を 1.0 から 1.1 刻みで 2.0 まで測定できる環境の元で行いました. 万国式視力表では見られない 1.1 や 1.6 ~ 1.8 などの数値が論文中の表に含まれているのはそのためです.

論文中にもありますが,小数視力は順序尺度(間隔の差が均等ではない)であり 視力の定量的な評価には適していません. [ 例 ] ・小数視力「0.1」と「0.2」 → 差は 0.1,倍率は 1/2 倍 ・小数視力「0.9」と「1.0」 → 差は 0.1,倍率は 9/10 倍 参考:https://www.nidek.co.jp/eyesto...

そのため,小数視力の変化量と実際の「視え」の能力・程度の変化量には,ギャップがある(特に小数視力 1.0 ~ 2.0 の範囲)点に注意が必要です. [例] ・小数視力「0.1」と「0.2」  → 差は 0.1,LogMAR変化量は 0.301 ・小数視力「1.0」と「2.0」  → 差は 1.0,LogMAR変化量は 0.301

【 視力測定について ④ 】 本実験では,小数視力の測定にランドルト環を用いましたが,実験用VRゲームの内容は「ランドルト環の方向を何度も繰り返して識別し続ける」という内容でした.

そのため,ゲームプレイを通して被験者の「ランドルト環の方向識別能力」が極端に訓練され,訓練効果が視力測定の結果に影響を及ぼしていた可能性があることから,今後は視力測定に「ETDRSチャート」などの代替視標を用いることを検討しています.

【 このVRゲームで近視が治る? 】 大きな期待を寄せていただいている中 恐縮ですが, 残念ながら,今回の実験結果からは「軸性近視(真性近視)」の程度に影響は生じないと考えられます. (強度近視そのものの改善を期待されていた方には申し訳ありません…)

実験用VRゲームによる視力回復効果は,あくまでも毛様体筋のストレッチによる「偽近視」の改善によるものであり,眼軸長の変化を生じ得るものではないからです.

今回の実験で,近視の程度の重い群で確認された視力回復効果は,「軸性近視」に「偽近視」を併発している状態から,「偽近視」の症状が改善された結果生じたものであると考えられます.

【 視力が悪くてもプレイできる? 】 矯正視力が十分であれば問題無くプレイできるかと思います.今回の実験は,眼鏡・コンタクト装用者にはそのままの状態でプレイしてもらいました.

論文中の表において,実験前の小数視力が 0.5 以上であるのはそのためで,実験には裸眼視力が 0.2 以下の被験者も含まれていました.

ただし,裸眼視力が低い・近視の程度が重い被験者は,視力回復効果の発現が遅かったり,視力回復効量が少ない傾向が見られました. 近視の程度が重い人は,近視の程度が軽い人と比べて,より辛抱強く継続的な訓練が求められるという,従来の毛様体筋ストレッチ法と同様の結果となりました.

【 持続効果は? 】 現状未検証です. 今後,実験用VRゲームを医療機関に置いてもらい,継続的な運用と休止期間を交互に繰り返すことによる実験データを収集する予定です.

【 若年層以外には効果無し?老眼にも効果はある? 】 今後検証予定です. 断言はできませんが,毛様体筋の緊張や疲労に起因する症状に対してであれば,一定の効果が期待できるのではないかと考えています.

しかし,老眼(老視)に対しては,その主な原因が「加齢によって失われる水晶体の弾力性」と「毛様体筋の衰え」であることから,「鍛えるべき筋肉が衰え切ってしまっている」場合には十分な効果は期待できないと考えられます.

つまり,「日頃の筋トレが大事」というわけですね.(毛様体筋が消耗品でなければ・・・ですが)

【 公開予定は? 】 時期は未定ですが,社会実装を目指しています. 将来的には「VRChat」や「cluster」での一般公開と,「Meta Store」や「Steam」での販売を考えています.

「VRChat」や「cluster」ではキーバインドの制約上,作者の意図する本来の仕様を実現できない(と思っているだけで実はできるかもしれない)ため,Quest版やPC版の内容を可能な範囲で再現した「簡易版」を ぶいちゃ などで体験してもらい,気に入ってもらえたら製品版の方も触ってもらおう という構え

この研究とは別の,VR・HMD・医療に関係した研究の方で どえりゃあ開発資金が必要になりそうなので,少しでもその足しにできたら嬉しいなという欲もあります. 研究で得た資金で次の研究ができるかもしれないね!嬉しいね! ・・・えっ,また論文書かないといけないんですか?

【 HMDつけて論文書け 】 はひぃ…

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