Published: September 5, 2025
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講評においての基準を気にしていらっしゃる方が多かったので比較的よくある課題を列挙します。あくまで私の仕事で関わる狭い世界の話だということはご理解ください(電子出版が主。コミカライズ原作の仕事が多いです)また編集部の商業化検討に入った時点で高評価されているので面白いのは大前提です。

忙しい人向けにまとめると「大幅な改稿が必要なものは作家さん/作品の魅力を損なう恐れがあるので不採用にする」です。

①序盤の展開がゆっくりすぎる。 読み進めないと面白さが出てこない作品はもったいないですが不採用になることが多いです。序盤は重要な情報が多く、プロットからの大幅な修正になることが多いためです。

作家さんは良かれと思ってそのような構成にしているというのもわかっているので、作家さんにとって望まない改稿になることもあり、作家さんの人となりがわからないとさらに賭けになります。基本的にはストーリーや流れはそのまま商業化できるものを採用する場合が多いです。

②メインキャラクターを大幅に変える必要がある。 ストーリーは面白いけれどターゲット読者の視点から見て主人公や恋愛相手に共感できそうにないなど、大幅な改稿が必要(かつそれを変えると作品の根幹が揺らぎそう)なものは編集部との相性が悪いなぁと思います。

作品やキャラが悪いわけではないんです。万人に受けるものはないので。でも「ウチとは相性が悪い」は本当によくあります。自分(編集)の好みに刺さってたりすると本当に泣く泣くいい出会いを祈りながら見送ります。

③設定が多すぎる。 これはかなり編集部によるところがありそうですが、コミカライズ前提だと設定をしっかり説明しないといけない作品は避ける傾向があります。特に女性向けで週刊連載は顕著。書籍はそこまで厳しくないです。

初っ端から世界観の説明にオリジナルのワードが大量に出てくると理解が難しく離脱を招くためです。設定が複雑なのであれば、序盤に違うツカミを持ってきて中盤以降に世界観の説明を入れる、みたいな構成で工夫できていると読みやすさが上がると思います。

④文体がレーベルに合わない。 ライトノベルだと比較的ライトな読み口を期待しているのですが、内容は面白くても文章が硬すぎたり、難読漢字が頻出していたりするとこれも全体の改稿と雰囲気調整が入るので作家さんの持ち味を潰してしまえことがあり消極的になります。

じゃあどんな文体がいいの?と思った時はレーベルの作品を読めばそれが答えです。特にレーベル等を決めていないようであれば、常用漢字を使用して平易な文章で書くようにしておくといいと思います。…が、硬さが持ち味の作家さんもたくさんいるので人によるとしか言えないのですが…。

⑤ジャンルが不明瞭 どう売り出すかがわからない作品はジャンルを絞ってターゲットを明確にしたいです。例えば文脈的には不倫復讐なのに、内容的には婚約破棄で、そこに転生が入ってきたり俺ツエー的な立身出世もあったり…と既存の売れ線を勉強して自分の要素を足そうとすると起こりがちです(自戒)

逆に不倫復讐なのに復讐しきれてないとか、ジャンル的に「美味しい部分」が描けていないとそれももったいないです。強いフックのある設定を使うなら、それを最大限に利用して、ついでにタイトルやあらすじにも入れた方が良いです。スカウトの場合求める設定やジャンルをワード検索しています。

とりあえず「よくある」感じだとこんな感じでしょうか。 偉そうに言ってますが私は上記全部やらかしたことがありますし、関わった作品は全部面白いと思っていますが全部売れているわけではありません。評価しなかった作品が他の出版社で大ヒットしたということもあります。

当てはまってようがなかろうが面白いものは面白いので、評価されなければ「この面白さがわからん編集しかいないんだな」と思って編集部を見限るのもありです。作家として最も強いのは「悔しい思いをしても書き続けられる能力がある人」だと思います。

半人前の編集者ですが質問あればぜひ!答えられないものは「答えられない」と答えます。編集者さんからのご意見も(反論も!)いただけると嬉しいです。

@editor_KL 商業ならではの考え方とかよく分かって面白く読みました。売れるために必要なこと、多くの方に受け入れられること、学びがありますね。

@terra_saga 長い文章を読んでいただきありがとうございます。一概に言えないことも多いですが(真逆の指摘もしたことがあります)作品を作る上で手助けとなりましたら幸いです。

@editor_KL たくさんのご示唆ありがとうございます。 あまり、周囲の反応を気にせずに好きなように書く傾向があるのですが、大変参考になりました。

@punnyago 「好きなように書ける」もひとつの才能だと思います。私は執筆時読者さんの反応がないと即モチベが下がるので書き切ることができません。それゆえに商業化とは関係なく「書き続けるために読まれる小説が書きたい」が強くあります。文野さんはきっと書くことが本当にお好きな人なのでしょうね。

@editor_KL 初めまして、ff外から失礼します 大変恐縮ですが、一点質問させてください🙇 「序盤」というワードについて こういう話題でよく出てきますが、具体的に何文字程度を指しているのでしょうか? 自作は第1話(4000字)では物語があまり動かないので、そこで見限られるようなら改稿する必要があるなと…

@agratanma 1話で面白そうと思わせられると強いですが、正直難しいですよね。 媒体によっても大きく異なりますが、web小説とのことなので話単位での販売と考えると「無料で読める話まで」が序盤と考えられるかなと思います。大体3話までが多いです。

@editor_KL はじめまして、FF外です。 このポストは大変言葉を選ばれ、丁寧に書かれていました。 とても信頼のおける編集者さんなのだと感じました。 特に最後の「悔しい思いをしても書き続けられる」というところに共感をしました。 商業なのだから、打ち切りになろうと次に行ける胆力がなければ続きませんよね。

@catshund ありがとうございます。 書けば書くほど、読めば読むほど、地力は伸びていくと思っています(そうであってほしいと自分にも言い聞かせています笑) 商業における失敗は数字で出るのでとてもわかりやすいです。失敗は次に活かせば結果ではなく成功への過程になるはず!(と自分に(略))

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